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映画「しあわせの雨傘」

2011/02/27 19:25
【ストーリー】

スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は毎朝のジョギングが日課の幸せな
ブルジョワ妻だったが、ある日、雨傘工場を運営する夫ロバート
(ファブリス・ルキーニ)が心臓発作で倒れ、雨傘工場を切り盛りする
ことに。亭主関白の夫の下で押し黙る日々を送っていた彼女だったが、
子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が
目覚めていく。

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        監督・脚本:フランソワ・オゾン
        出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー
            ファブリス・ルキーニ、カリン・ヴィアール
            2010年/フランス




【感想】満足度★★

久々に何となくフランス映画が観たくなり、軽い気持ちで鑑賞。
1970年代のフランスが舞台で、ブルジョワ主婦が心臓発作で
倒れた夫の代わりに雨傘工場を任されたことで、意外な才能を
発揮していく・・・といったストーリー。

この映画は、ドヌーヴのための映画だと思った。
ジャージ姿のドヌーヴはキュートで相変わらずキレイだし、
映画に出てくる70年代ファッションやインテリアも楽しめた。

全体的にコメディータッチで、ププッと笑えるところもあり、
悪くはない。
しかし、個人的には印象に残らない作品だった。


原題は『POTICHE』で、豪華だが実用性のない花瓶という
意味で、美しいだけの女、夫の陰で生きる自我のない妻と
して劇中でも描かれていた。

劇中で特に印象に残ったのが、ドパルデューの巨大化だった。
なぜ、そこまで・・・?!と言いたくなるほどだ。

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観る人を選ぶ作品だと思う。
興味がある人はどうぞ。







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映画「乱暴と待機」

2010/11/28 23:59
【ストーリー】

番上(山田孝之)と妊娠中の妻・あずさ(小池栄子)が引っ越した
先にいたのは、あずさの高校時代の天敵、奈々瀬(美波)だった。
しかも、奈々瀬は怪しい男・英則(浅野忠信)と兄妹のフリを
しながら同居し、英則は屋根裏から奈々瀬をのぞくことを習慣に
していた。しばらくして番上と奈々瀬が接近したことから、さらに
4人の関係はいびつになっていく。


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            監督・脚本:冨永昌敬
            原作:本谷有希子
            出演:浅野忠信、美波
                小池栄子、山田孝之
                2010年/日本



【感想】満足度★★★★

久々にボディーブローのようにじわじわとくる作品を観た。
まず、オープニングのシーンが印象的だった。
トッラクの荷台から出ている男女の足から始まるのだが、
何となくワクワクさせられ、期待感が高まる。

原作が本谷有希子の舞台劇のため、登場人物は4人。
木造平屋の一室で、ほとんど物語が展開していく。
あることがきっかけで、同居している男と女。
男は天井裏の穴から女をを覗きながら復讐方法を考え、
女はその復讐が下されるのを待っていたが、ある日
近所に越してきた夫婦によって、その関係が変化していく
・・・といった不条理ワールド満載の話。

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とにかく登場人物が普通じゃない。
いつもオドオドし、人をイラつかせる女・奈々瀬。
奈々瀬を軟禁し、天井裏から覗く偏屈な変態男・山根。
無気力で女グセの悪いダメ男・番上。
言葉よりも手が先に出る気が強い女・あずさ。
あまりにも常軌を逸した言動や、奇想天外な世界観に
共感はできないが、磁石のように惹きつけられていく。

浮気現場を目撃したときに、小池栄子が床にある
履歴書を足でねじねじと踏むシーンが強烈に怖い。

また、劇中での番上のセリフがツボにはまる。

「その辺は積極的に麻痺していこうよ」


このセリフは、凄い。
人間の本性を鋭く突いている。

「永遠の愛は疑ってしまうけど、永遠の憎しみは信じられる
これも歪んだ愛の形なのかもしれない。

芸達者な役者陣と監督の演出の上手さが光る作品。
濃厚でクセのある独特の世界観に、好き嫌いがハッキリ
分かれるかもしれない。
個人的には、オススメ。














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映画「ペルシャ猫を誰も知らない」

2010/11/14 18:18
【ストーリー】

ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・
クーシャンネジャード)は、テヘランでバンドを組んでいた。だが、
音楽の自由のないイランでインディー・ロックを続けることに限界を
感じていた二人は、ロンドンで演奏したいと夢見るようになる。
何よりも国外に出るためにはアシュカンのパスポート取得が先決で……。



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        監督・脚本:バフマン・ゴバディ
        出演:ネガル・シャガギ、アシュカン・クーシャンネジャード
            ハメッド・ベーダード
            2009年/イラン



【感想】満足度★★★★★

久々に、心にグサッと突き刺さる映画を観た。
西洋文化の規制が厳しいイランの首都・テヘランで、当局の目を
逃れながら密かに音楽活動を続ける若者たちを描いた作品。
出演者のほとんどが実際に無許可で活動するミュージシャンで、
撮影許可が下りなかったため、ゲリラ撮影を敢行した。

インディ・ロックやブルース、ヘビィメタルやラップなど様々で
とても力強く、音楽に対する強い思いがどのシーンからも
伝わってくる。



彼らの音楽にリンクしたテヘランの街並みや人々の暮らしの
映像がとても印象的で、今のテヘランの状況が伝わってくる。
ドキュメンタリーとフィクションをうまく融合させ、ピンぼけの映像が
リアル感を出し、映像に説得力を与えている。
随所にユーモアを散りばめながら、自由を強く渇望する彼らの姿が
とても切ない。

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かつてペルシャと呼ばれていたイラン。
テヘランでは犬や猫を外に連れ出すことは禁止されており、
タイトルの「ペルシャ猫」を意味しているのは、西洋文化の規制が
厳しいテヘランで、当局の目をくぐり密かに音楽活動をしている
若者たちのことだそうだ。

ラストは今のイランを象徴しているようで、何ともやりきれない。
しかし、観て損はない秀作だと思う。










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映画「小さな村の小さなダンサー」

2010/11/14 12:54
【ストーリー】

リー(ツァオ・チー)は1961年、中国・山東省で7人兄弟の
6番目の息子として誕生する。彼は11歳で親元を離れ、
北京の舞踏学校でバレエの英才教育を受ける。やがて
たくましい青年に成長したリーは、中国を訪れていたヒュー
ストンのバレエ団の主任ベン (ブルース・グリーンウッド)の
目に留まり、アメリカでのバレエ研修に参加することになる。


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           監督:ブルース・ベレスフォード
           出演:ツァオ・チー、ブルース・グリーンウッド
               アマンダ・シュル、カイル・マクラクラン
               2009年/オーストラリア




【感想】満足度★★★

中国出身のダンサー、リー・ツンシンの自伝「MAO'S LAST DANCER」を
映画化した作品。
中国の貧しい農村出身の少年が、毛沢東の文化政策によるバレエの
英才教育を受け、その後アメリカへ亡命しトップダンサーになるまでの
半生を描いたもので、ベタな作りだが素直に感動できる。

実在のダンサーということもあり、脚本や演出がいささか綺麗に
まとめすぎている感じを受け、物足りない部分もある。
しかし、バレエシーンは圧巻だ。

現役のダンサー、ツァオ・チーの踊りが、本当に凄く迫力があり
このシーンだけでも一見の価値はあると思う。
そして家族との再会。
ベタな展開だとわかっていても、ウルッとしてしまい泣けた。

ただ、ラストシーンは不要だと思う。
あのシーンで感動が一気に冷めてしまった。
あと、邦題も「リトルダンサー」を連想させ紛らわしい。
原題の「毛沢東のバレエダンサー」の方が内容的に
しっくりくる気がする。

とはいえ、王道の感動作品なので安心して観れると思う。
興味がある人はどうぞ。









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映画「ミックマック」

2010/10/15 10:16
【ストーリー】

発砲事件に巻き込まれて以来、頭に銃弾が残ったままのバジル
(ダニー・ブーン)は、ガラクタ修理屋のプラカール(ジャン=
ピエール・マリエル)と出会う。全てを失ったバジルだが、
個性的な仲間たちと共にガラクタ集めを手伝うことで絆が生まれ、
新たな人生の一歩を踏み出す。そんなある日、彼らはバジルの
頭に残されたピストルの弾を作っている会社と、30年前に
西サハラで父の命を奪った地雷を作っている会社を発見、
悪徳企業への仕返しをしようと企む。


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         監督:ジャン=ピエール・ジュネ
         出演:ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ
             オマール・シー、ドミニク・ピノン
             ジュリー・フェリエ、ニコラ・マリエ
             マリー=ジュリー・ボー、ヨランド・モロー
             ジャン=ピエール・マリエル
             2009年/フランス


【感想】満足度★★★★

「デリカテッセン」「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。
独特の色彩や映像美、個性的なキャラクターなど、相変わらず面白い。
発砲事件に巻き込まれ、頭に銃弾が残ったバジルがある日、父の命を
奪った地雷製造会社と銃弾製造会社を突き止め、個性的な7人の
仲間と復讐をするという物語。

冒頭からブラックユーモア全開で、強烈だ。
バジル役のダニー・ブーンの飄々としたとぼけたキャラがキュート。
7人の仲間たちも、「ギロチン男」や「人間大砲」「軟体女」「計算機」
「料理番」「言語オタク」「発明家」など変わった特技を持つ愛すべき
変人たちで、魅力的だ。

そんな彼らが“死の商人”に仕掛けるイタズラが超アナログで笑える。
ユーモアとアイデアに溢れ、ぷっとふき出してしまう作戦は、面白い!

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そして、ラストのオチが最高だ。
最後の最後まで笑わせてくれる。
一見可愛らしいコミカルな作品だが、その裏には
兵器製造会社への風刺や、反戦といったメッセージも
さり気なく込められているのは、さすがだ。
フランス映画が苦手な人にも楽しめる作品だと思う。
















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映画「悪人」

2010/10/13 12:09
【ストーリー】

若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に
疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、
清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。
しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を
車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。
そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。



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              監督:相李日
              原作:吉田修一
              脚本:吉田修一、相李日
              出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生
                  満島ひかり、柄本明、樹木希林
                  2010年/日本




【感想】満足度★★★

モントリオール世界映画祭で、深津ちゃんが主演女優賞を受賞したが
何となく消化不良が残る作品だった。
殺人を犯した男とその男を愛してしまった女が繰り広げる逃避行を
描いた物語だが、正直言って共感できなかった。

序盤から中盤までは事件の被害者と加害者の家族の心情に重点を
置き、次第に主人公・祐一の人間像が浮き彫りにされていく。
日常の鬱屈した感情や、田舎の閉塞感、殺伐とした人間関係など
ものすごくリアリティがあり、上手い。
人を見下すことで自分のプライドを保つ人間の弱さや、傲慢さが
胸に突き刺さる。

役者陣は、主役から脇役に至るまで全員好演している。
やはり樹木希林と柄本明は、文句なしに上手い。
この二人が画面に登場するだけで、画に説得力が出る。

しかし、終盤の逃避行からあきらかに失速し始めた。
演出が陳腐すぎるし、祐一と光代が強く惹かれあう理由も
イマイチ伝わってこない。
この映画のテーマでもある「悪人」とはいったい誰なのか、
という問いかけも、今ひとつ弱い。
人間は多面的な面を持ち、誰でも一歩間違えれば
悪へ転がっていくだろうし、祐一の心情も理解はできる。
だが、説明セリフや無意味のカットが多い。

そして映画を観て一番気になったのが、加害者である
祐一に観客は次第に同情し、彼は“愚かではあるが
悪人ではない”という演出が見えたことだ。
その結果、ラストもイマイチで印象に残らない。
もう少し、深く掘り下げて欲しかった。
中盤までは良く出来ていただけに、惜しい。


映画としては役者の底力を感じさせられたが、
作品としては弱い気がした。



















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映画「トイレット」

2010/09/26 16:13
【ストーリー】

プラモデルオタクのレイ(アレックス・ハウス)、引きこもり
ピアニストの兄モーリー(デヴィッド・レンドル)、エアギターで
自己実現のアイデンティティーを保っている大学生の妹リサ
(タチアナ・マズラニー)の三兄弟は、人生は退屈の繰り返
しに耐えることだと信じて疑わなかった。しかし、生前母親が
日本から呼んだばーちゃん(もたいまさこ)との日々を過ごす
中で、三兄弟の心に少しずつ変化が起こり始める。


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             監督・脚本:荻上直子
             出演:アレックス・ハウス、タチアナ・マスラニー
                 デイヴィッド・レンドル、サチ・パーカー
                 もたいまさこ
                 2010年/日本


【感想】満足度★★★★

ようやく、荻上監督の3年ぶりの新作「トイレット」を観に行った。
「バーバー吉野」「かもめ食堂」「めがね」と荻上監督の作品は
「恋は五・七・五!」以外は全て観ていて、あの独特の
空気感が好きだ。


人と関わることが苦手なオタクのレイ、引きこもりの兄・モーリー、
勝気な妹・リサの三兄弟が、母親の死をきっかけに日本から
やって来たばーちゃんと奇妙な共同生活を送ることになる。
人生は退屈の連続に耐えることだと思っていた三兄弟が、
ばーちゃんとの交流を通して、成長し家族の絆を深めていく。

荻上監督の作品は、癒し系映画と称され万人受けしそうだが、
実はかなり観る人を選ぶと思う。
人物描写を深く掘り下げないし、伏線やオチもほとんどない。
状況説明もほとんどないため、雰囲気重視と想像力に
頼る部分が多い。
しかし、本作は今までとは少し違う感じを受けた。

花柄のスカート、エアギター、プラモデル、ギョーザなどの
エピソードの積み重ねが上手い。
"トイレ”が、三兄弟と異文化を持つばーちゃんとの関係性や
家族愛の象徴として描かれているのが、面白い。

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ばーちゃん役のもたいまさこさんの存在感はスゴく、喋らず
顔の表情や佇まいだけで、孫への愛情が伝わってくる。
特に4人でギョーザを作るシーンは、観ていて心温まる。

また、荻上作品に欠かせないのが、料理とファッションだ。
今回もフードスタイリストの飯島奈美さんと衣装の堀越
絹衣さんが担当している。

堀越さんのスタイリングは、本当にキュートで素敵だ。
モーリーの花柄スカートや、リサのライダースJK、
ばーちゃんのスカーフやワンピースなど、キャラクターを
よく理解した上で、魅力的に見せてくれるのだ。
特に、ばーちゃんの財布はクールで、思わず
「おおっ!」とつぶやいてしまった。


そして、何よりもラストが絶妙だ!
荻上監督らしい、ユーモアとセンスに溢れている。
独特の間合いや映像のセンスも前作に比べて、
進化し、アメリカのインディーズ映画の雰囲気を
少し漂わせている。
見終わった後、気持ちが温かくなれる作品だと思う。




















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